コツソの部屋

骨粗鬆症マネージャーとして病院勤務しております。骨折を防ぐための生活習慣や、治療薬、サプリメント、食べ物などについて情報発信していきたいと思います。宜しくお願いします。

骨と会話していますか?

糖尿病治療、高血圧治療、がん治療・・・

骨粗鬆症に限らずですが、

ご高齢になると『治療は先生に任せてるから』なる発言を良よく耳にします。

 

 

「半年前にも骨密度検査されてますが、覚えていますか?」

骨粗鬆症と聞いてるわよ、でも治療はお任せしてるから・・・』

 

出ました、お任せオーダー!!

 

こういった患者さんにはできるだけ骨目線でお伝えするようにしています。

自分の体のことですから自分で理解しないと。

何てったって当事者は患者さんです。

 

今まで見てきた骨粗鬆症患者さんで、最低新記録の骨密度は

30%以下でした。

 

骨密度30%ですよ、体幹を支えているのも最早奇跡のレベルです。

恐らくもっと低い人もいるでしょう。

 

例えばですが、住宅を購入する際、

ディーラーから説明を聞きます。

ここで、

「この建物は、使用した鉄骨量は30%です、

そして外壁のコンクリ―トの体積も30%量、全て70%OFFです」

なんて説明を受けたらどうする?

 

あなたに一任しますって言う?

 

2005年の耐震強度偽装事件では、震度5強で倒壊すると言われていましたが、

鉄骨とコンクリ80%も減らされたら、

震度5強で倒壊どころか、木端微塵になってしまいそうです。

 

それが今、体に起こっているわけです。

大変な事態です。というより、それで動けるのが奇跡で、

足が絡まって転倒するだけで、完治不能になる強力なリスクがあるわけです。

 

骨強度は骨密度70%と骨質30%で評価されます。

 

骨密度とはいわゆる単純な鉄骨とコンクリの量です。

骨質とは架橋、いわゆるどれだけ揺れに強い網目構造がなされているかです。

ただ鉄骨を闇雲に組んでも、強度にはつながらないということですね。

現在、骨密度は検査できる施設がたくさんあり、保険診療になっていますが、

このうち骨質は現在の技術では数カ所しか検査できないようです。

 

骨質の検査が一般化するのが待ち遠しいです。

 

けど、現在の検査で、一般に次の検査が測れます。

 

骨密度、血清Ca濃度、25(OH)VitD、骨吸収マーカー、骨形成マーカー

 

人間の皮膚は新陳代謝しており、日々新しく生まれ変わっています。

古くなった皮膚は垢となって剥がれ落ちてきます。

骨も同様に新陳代謝しています。

・骨が壊されるのが骨吸収(血液に吸収されるというイメージでしょうか)

・骨が作られるのが骨形成(血液中かのCaを集め骨を作ります)

骨が健康であるにはこの2つのバランスが重要です。

骨吸収進みすぎると骨がもろくなるということは想像できると思います。

 

ただの5種類の検査で数値化されるだけでしょ?

 

確かにそうですが、

しかし、それぞれが体の骨粗鬆症の状態を教えてくれるんです。

 

骨密度・・・骨が弱っていないか?

血清Ca濃度・・・Caが足りているか?

25(OH)VitD・・・Caの腸管からの吸収力が落ちていないか?

骨吸収マーカー・・・骨が壊されすぎていないか?

骨形成マーカー・・・骨はちゃんと作られていますか?

 

それらを知ってどうすると?

 

それぞれが訴えているのです。

その声に耳を傾けてみましょう。

『食生活を見直してよ』

『転倒に注意してよ、骨折しやすいよ』

主体は患者さん本人です。

医療従事者の大きな仕事は骨の声の代弁と治療の選択です。

 

これらの数値は、医療従事者にもメッセージを発します。

薬物治療の判断基準のメッセージです。

これらの数値が、どう出るかは患者さんによります。

検査データと全身状態から、オーダーメードの薬物治療が選択されます。

 

一方、これら検査値は一般に医師や医療従事者がお伝えするものですが、

患者さんの体で起こっていることの代弁にすぎません。

言われるがままではなく、

自分の体が発する言葉にしっかり耳を傾け、

骨折しない、要介護にならない健康な生活を送っていただければと思います。

 

参考資料

骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年版/日本骨粗鬆症学会 

骨粗鬆症 #骨粗しょう症 #カルシウム #Ca #骨密度