カルシウム摂取のコツⅠ~骨粗鬆症とビタミンD~
日本にはまだまだカルシウム(Ca)神話が残っており、
「骨粗しょう症です」
と言われれば、真面目な日本人はひたすら
「Ca過剰摂取」
に日々邁進される方が多いようです。
腸管からのCa吸収率は低い?
年齢と共に下がり、
女性の場合、20歳代は60%以上あるものの80歳を超えると30%以下になります。
血清Ca値など体内のCaのバランスは、
副甲状腺・腸管・腎臓・骨におけるCa吸収・代謝調節機構によって維持されています。
Caは食事により外部から補給されますが、腸管からのCa吸収には2種類あります。
1、直接血管側に輸送される能動輸送(Ca摂取が多い場合)
2、VDR(ビタミンD受容体)による受動輸送(Ca摂取が少ない場合)
受動輸送によるCa不足の解消は非効率的であり、
ビタミンD摂取によるVDR依存的な能動輸送が効率的と言えます。
天然型ビタミンDと活性型ビタミンD3の誤解
ビタミンDを「天然型」と「合成型」のどちらから摂取しますか?
と聞かれると、どうしても言葉の響きから天然型を選択しがちです。
天然型ビタミンDはサプリメントに多く含まれ、
合成型ビタミンDは医薬品になっています。
もちろん合成された活性型ビタミンDの方が薬効は高く効率的です。
ちなみに天然型ビタミンDは
1、食事からの摂取
2、皮膚からの合成
により体内に補給されます。
骨を強くするには外出や紫外線に当たることを推奨されるのは、
ビタミンD補給のためです。
天然型ビタミンDが活性型ビタミンD3に代謝される道のり
天然型ビタミンD3は
1、肝臓(25水酸化酵素)にてD3→25(OH)D3
2、 腎臓(1α水酸化酵素)にて25(OH)D3→1,25(OH)2D3
と2段階で代謝され主な標的器官に作用します。
標的器官とは前にも述べたCa代謝に関連する副甲状腺・腸管・腎臓・骨などです。
簡単に言うと、
摂取したビタミンDは肝臓と腎臓で代謝され始めて効果を示すということです。
ですから、仮に腎臓や肝臓が悪い方は、
サプリメントなどでビタミンDを補給しても効果は期待できないかもしれません。
ちなみに、医薬品のビタミンD3製剤には3種類あり
1、アルファカルシドール(アルファロール・ワンアルファなど)
1α(OH)D3
肝臓にて25水酸化され活性化
2、カルシトリオール(ロカルトロールなど)
1,25(OH)2D3
3、エルデカルシトール(エディロール)
1α,25(OH)2-2β-(3-hydroxypropyloxy)D3
活性型ビタミンDだが、VDR親和性が強く改良されている
最強のビタミンD「エルデカルシトール」とは
体内で合成されるビタミンDに比べて、
VDRへの親和性が強く、腸管からのCa吸収率も高いです。
各種ビタミンD化合物の、腸管からのCa吸収率に及ぼす影響についての検討では、
以下のような変化率でした。
・エルデカルシトール(0.75μg)群:+59.5%
・アルファカルシドール(1μg)群:+45.9%
・天然型ビタミンD3補充群:+16.7%
エルデカルシトールの 腸管から血管へCaを引き入れる作用の強さが見て取れます。
ビタミンDをうまく利用する3つのコツ
・Ca吸収を助けてくれる、骨粗鬆症予防にに欠かせない筆頭栄養素である。
・Caを多く含む小魚や牛乳だけを大量摂取するのではなく、ビタミンDを多く含む代表格である魚やキノコも同時摂取を心掛けるとよい。
・骨粗鬆症の治療が必要な場合は、サプリメントに頼らず受診する。
ビタミンDを多く含む食品と上手にとる5つの工夫についてまとめています。
こちらもご参照ください。
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参考資料