コツソの部屋

骨粗鬆症マネージャーとして病院勤務しております。骨折を防ぐための生活習慣や、治療薬、サプリメント、食べ物などについて情報発信していきたいと思います。宜しくお願いします。

感染症ファイル9【ロタウイルス】突然の嘔吐そして米のとぎ汁のような下痢が!?

ロタウイルス(嘔吐下痢症、冬季嘔吐症 rotavirus)



rota


長男で発症しました。

2歳だったと思います。

感染の心当たりもあり、基本的なサインが、順番に出現したので

まるで教科書に載っているかのような、一連の症状でした。



あまりにわかりやすかったので、

ロタウイルスを疑った3つの徴候としてまとめてみます。



 経験談や能書きなんて不要、感染症ファイルへ





1、突然何の前触れもなく大規模な嘔吐



うちの息子はけっこう胃腸が強い方だと思います。

あまりミルクを吐くことがなく、離乳食が始まっても嘔吐もありませんでした。

食べ過ぎで、一部口に戻ってきて、「おえっ」って吐きそうになっても、

頬っぺた膨らませた後、再び込んでました。



そんな息子が、いきなり強烈な嘔吐をします。



夕方なのに、朝の分もほとんど消化されず戻しました。

感染症になると、異物の排除という観点から、

消化管が食べ物の受付を拒否し、消化・吸収といった機能が低下し、

吐いて出す、下痢で出すといった生理反応・防衛反応が出ます。



そして次の日です。



2、嘔吐して間もなく、米のとぎ汁のような下痢



これもロタウイルスの特徴的な症状です。

嘔吐に続いて下痢がくることが多いです。

しかも柔らかいな、グルグルいってるな、



といった軽い下痢ではなく、完全水様便です。



色は米のとぎ汁のように白く、臭いは独特のにおいがあります。

白い色はコレラにも見られるので、仮性コレラとも呼ばれる所以です。



そして独特のにおいは、におわない方がよいです。



糞便経口感染しますので、におうということはウイルスを吸入しています。





ちなみに、私は長男の下痢は100%父子感染しました。

育児疲れで体が弱っていた影響もあったと思いますが・・・



3、前日まで入院していた



これは、別の話になるのですが、

風邪をこじらせて、肺炎になり、中耳炎も合併して入院しました。

退院して、自宅療養をはじめて、次の日の嘔吐です。

私も妻も、感染性胃腸炎の症状はありません。

病院からの帰宅も、だっこひもで帰ってきましたので、

ウイルスが感染するような環境にはありませんでした。

何より潜伏期は1~3日ですので、

感染源は確実にアレだと確信がありました。



うちの息子は、病気になると一切食べない・飲まないので苦労しました。

特に飲まないのは厄介です。

1回目の入院も、水分取ってくれたらさけられたかもしれません。



ということで、退院直後の再入院です。

検査の結果はロタウイルスです。

小児科の医師に念押ししようかと思ったが、向こうから口を開きました。

こちらが医療従事者だったからかもしれません。



『確実に院内感染です。申し訳ありません』



病院の責任なのでと期待していたのですが、

しっかり徴収されました。



入院代



きっぱり説明いただいたので別にいいんですけどね





あわよくばタダになるかと思ったんだが・・・





ちなみに感染源はほぼ確実にベビールームのおもちゃです。

おもちゃの消毒の有無を聞くと、消毒はしているとのこと。

しかし頻度の話になるとはぐらかされました。

そもそも、ぬいぐるみや表面にざらつきのあるもの、木製のおもちゃ、

このあたりは消毒不可能です。



少し元気になって、退屈だからベビールームで一緒に遊ぼうかな。




この発想は実は危険かもしれません。



嫌がられると思いますが思い切って聞く方がいいと思います。

「すべてのおもちゃは毎日消毒されていますか?」

と。

毎日・・・というのは最低限の頻度かと思いますが、

実際私が小児科勤務していた時もそうですが、

日常の医療現場で毎日おもちゃを一つ一つ消毒する時間はないと思います。

ぬいぐるみや木製製品を置いているのであれば論外です。





以上、ロタウイルスを疑った3つの徴候をまとめました。

ちなみに似たような症状を示すものにノロウイルスがあります。







にまとめていますのでよろしければご覧ください





うちの長男の頃は、ロタウイルスのワクチンはまだ出たころで、

自費で接種可能な状況でした。

しかも感染を予防するわけではなく、

発症しても症状を軽減し、治癒期間を短縮できるというものです。

そんなもので、2回、3回自費で打つのはやめようと思ったのですが、

実際発症し、入院になりましたので後悔しています。

治癒期間が短縮できたら、仕事の復帰も早められますね。

ワクチンにはこういう考え方もあるかと、思い知らされました。

今では定期接種に入っていますので、2人目にはしっかり接種しています。

ロタウイルスのワクチンは近々まとめたいと思います。


 
 

ということで、感染症ファイルです



 

疫学データ



原因・・・ロタウイルス

感染経路・・・糞口(糞便空気)感染

感染力・・・ノロウイルスより弱いが重症度は高い、無症状の場合もある

流行・・・1月~4月

好発年齢・・・6ヶ月~2歳に多い、5才までにほとんどの小児が経験する。



症状



・ 潜伏期 : 1~3日

・ 激しい嘔吐、下痢などの胃腸炎症状

・ 嘔吐は1~2日で、下痢は7日ほどで回復する

・ 米のとぎ汁のような下痢が特徴(白痢、仮性小児コレラとも言われる所以)



治療法



・ 検査法 : 糞便中のウイルス抗原を検査

・ 嘔吐、下痢がひどいときには、点滴が必要

・ 脱水予防に「オーエスワン」を飲ませてあげましょう

・ 原則、下痢止めは使わず、整腸剤を使います



生活上の注意



・ ウイルスは、症状が消失しても、2~3日ほど便中に排出される

・ 嘔吐、下痢による脱水や窒息に注意

・ 消毒には次亜塩素酸ナトリウムか、85度以上で1分以上の加熱が必要

・ 逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールでは消毒できない

・ 便からウイルスが舞い上がるので、オムツの取り扱いに注意する

・ 手洗い、加熱、消毒が重要、特に施設内での集団感染に注意が必要



ポイント



乳幼児の冬の急性下痢症の主要な原因です。

このウイルスに限らず、脱水は命にかかわるので、次のような症状は要チェックです。

・ おしっこの量が減った、または半日以上出ていない

・ 水分を受け付けない

・ 目が落ちくぼんでいる

さらにひきつけや意識が朦朧としている時は大至急受診してください。




参考文献は省略しますが、サイトとしてはいつもこちらを参考にしています。

もっと詳しく知りたいという方は確認してください。

NIID(国立感染症研究所)です