コツソの部屋

骨粗鬆症マネージャーとして病院勤務しております。骨折を防ぐための生活習慣や、治療薬、サプリメント、食べ物などについて情報発信していきたいと思います。宜しくお願いします。

お前(の手)はもう死んでいる~「ヒエヒエ」には「サワサワ」で忖度~

娘が最近夜中に手をこすり合わせてます。

赤くなってるのでたぶん痒いんでしょう。

妻が言うには、手を合わせてるので拝んでるようで怖いとのこと。

私から見たら、手をこすりあわせてかわいいです。



ハエみたい



と言ったら、妻から「やめて」と嫌悪されました。

砂かぶれ(砂かぶれ様皮膚炎)かもしれませんが、しもやけの初期かもしれません。



ぎゅっと抱き付くのが最近の娘のブームです。

親としては至福の極致ですが、真冬の入浴前、裸で抱き付かれると



「ひょえー」



と隣近所に私の悲鳴が響き渡ります。



あんたの手は手袋外した雪の女王かっ!?



ここまで冷たいと、やはりしもやけが心配です。

別名「凍瘡(とうそう)」

手足、耳たぶや鼻、頬に赤い発疹や腫れが生じ、かゆみ・痛みを伴います。

私が見た事例として、

水疱が破れ、糜爛(ただれ)たり、指先が赤黒く変色する子がいました。

ユニークな小児科の先生だったので、

「お前の手はもう死んでいる」

と言われたそうです。なんちゅう医者だ・・・



ビタミンEで血流を改善したり、ステロイドでかゆみを抑えたり、

外用薬はあるのですが、改善しない場合に内服薬もほしいところです。

西洋薬では効かない、ちょっと物足りない、

こんな時の裏処方には漢方薬です。



 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(38番)



血行を改善し、体を温め、冷えによる痛みを抑えます。

「四」肢から冷えが体内に「逆」行する「四逆」症状を改善します。

業界ではしもやけと言えば38番というほど有名です。

出典は葛根湯でおなじみ、漢時代の代表的古典「傷寒論」です。

2000年の歴史があります。

 「冷えると痛いです」

 「手足が冷えたらお腹にきます」

 「冷房に弱いです」

こういった冷え症状がでたら考慮です。

とある先生は、手足末端の冷えの触診と痛みの問診だけで即決

他の症状は聞き流し忖度されるそうです。

そう、「ヒエヒエ(冷冷)の能力」には「サワサワ(触触)の能力」で対抗を、

そう言えるほどメジャーな漢方です。

そんなサワ(38)サワ(38)ですが、9種の生薬から構成されます。



「当帰」「桂枝」の血行改善、

芍薬」の調整、

「大棗」「甘草」の筋緊張緩和、腹痛軽減、

「木通」の水分代謝

そして「細辛」の止痛、



このほとんどに温める作用がありますが、

これに肩こりや頭痛に有名な「呉茱萸」、温める代表生薬「生姜」を加え、

これでもかというくらい温めることと鎮痛に特化した構成です。



裏処方でもまだヒエヒエが・・・

という場合、裏の裏やそのまた裏があるのが漢方薬の強みです。

循環改善に真武湯を併用、

さらに「冷え」とくれば「附子」を加える選択肢もあります。

しもやけと言えば静脈うっ血ですから桂枝茯苓丸の合方も期待できます。



附子は猛毒のトリカブトが原料です。

加熱して減毒されているとはいえ、

・効果が出てきたら即減量を考慮する、

・附子中毒(舌の痺れ・動悸など)が現れたら中止する

などの注意が必要です。

独特の味の悪さは単剤使用しないことで忖度です。



末端の冷え、胃腸の冷え、そして季節問わず、「ヒエヒエ」には全部忖度して、

まず38番を試してみるのは如何でしょうか。

ちょっと苦いですけど。